
実家じまい、片付けならお任せ
地方公務員から家財整理業へ 人生の第二幕
株式会社 未来倶楽部商会 代表取締役社長
石見良一さん(高29回・水泳部OB)
福岡市南区的場に事務所を構える「株式会社未来倶楽部商会」。遺品整理や空き家の家財整理、特殊清掃などを手がけています。
代表取締役社長を務めるのは、高29回の石見良一さん。地方公務員(学校事務職員)を定年退職した後、2024年に家財整理の世界へ飛び込みました。
少子高齢化が進み、全国で空き家が増加、孤独死も社会問題となるなか、家財整理を必要とする人は増えています。実際の現場では、どのような仕事が行われているのでしょうか。石見さんの事務所を訪ね、お話を伺いました。
どんな現場でもお断りしません
――リーフレットには「整理・片付けのことならおまかせください」とありますね。
「私たちは「家財整理」と呼んでいます。故人の遺品や、空き家の家屋内・敷地内にある不用品などを整理し、処分する仕事です。
孤独死された部屋の特殊清掃や原状回復、いわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれる、大量の物で埋まった住まいの片付けなども行います。
2026年は7月、8月だけで、孤独死された方の室内清掃を2件行いました。年間では3~4件ほどでしょうか。一人で亡くなられるのは高齢者ばかりではなく、意外に若い方も多く、ご両親から依頼を受けることもあります。
親が施設に入るので部屋を片付けてほしい、といった相談もあります。いろいろな現場がありますが、本的にお断りすることはありません」
――空き家が増えていますね。全国の空き家は、2023年の総務省調査で約900万戸。空き家率は13.8%で、およそ7軒に1軒です。
「福岡から東京などに就職し、すでに向こうに生活基盤がある方から、福岡に残っている実家を整理したい、という依頼も多いですね。筑高の同窓生から依頼をいただいたこともあります。
葬儀社や解体業者、不動産業者から、売却・解体したいけれど、中に家財や荷物がたくさん残っている、と相談されることもあります」


空き家に入ってみたら 子ネコが3匹
――印象に残っている現場はありますか。
「この前、空き家の整理に入ったらネコが4匹住みついていました。親ネコと子ネコ3匹です。
親ネコは逃げてしまったのですが、残された子ネコ3匹をそのままにするわけにもいかない。連れて帰って事務所で飼おうかとも考えましたが、最終的には保護団体に引き取ってもらいました。空き家は管理されない状態が続くと大変です。タヌキなどの野生動物が入り込んだりすることも。」

息子が始めた事業に 定年後の父が合流
――家財整理の仕事に転じたきっかけを教えてください。
「もともとは長男が始めた事業で、そこに、定年退職した私が合流しました。
私の弟が東京で家財整理の仕事に関わっていて、「これから需要が見込める仕事だ」と勧めてくれて、長男は、東京の弟のもとで5年間修業しました。2020年に福岡へ戻り限『未来倶楽部商会限』として独立しました」
――「未来倶楽部商会」という社名には歴史があるそうですね。
「以前、私の父が車やバイクの輸入販売の事業で使っていた名前なんです。
父が仕事を辞めた後も会社は残っていたので、長男がその屋号を引き継ぎました。私が参画した2024年に、合資会社から株式会社にしました。
長男も帰郷した当初は土地の事情も分からないし、人脈もない。右も左も分からないところから、友人や知人のつてを頼りながら頑張っていました。
私も退職後、「少しでも力になれれば」と思って参加しました。長男はまだ若いので社長は私、業務に精通している長男が現場責任者。家族で力を合わせ、事業もようやく軌道に乗ってきたところです」


――実際に家財整理業に携わってみて、いかがですか。
「私はまったくの素人からのスタートでした。長男に教えを請いながらの2年間で、これまで120~130件ほどの現場を経験しました。
とにかく、モノがあふれている家が多いんです。
一人暮らしの方が、モノを捨てきれずに取っておく。そのうちにモノが増えすぎて収拾がつかなくなり、そのまま放置される。その方が亡くなった後、遺族も手のつけ方が分からず、私たちのような業者に依頼する。そういうケースがあります。
「立つ鳥跡を濁さず」といいますか、自分が消費した大量のモノを残したまま死ぬのは嫌だな、と。自分の死に際はきれいにしておきたい、と現場に入るたびに思いますね」
思い切って捨てることも大切
――家の中のモノを増やさないためには、どうしたらいいでしょう。
「普段から「モノを減らそう」と意識することですね。
思い切って捨てる。愛着や思いがこもったモノでも、「もう要らない」「使わない」と判断したら、えいっと手放す。その「思い切り」も大切だと思います。
私たちは赤の他人だから、ためらわずに処分できるという面もあります。でも、それだけでもありません。故人のアルバムがよく出てくるのですが、ご遺族から「捨ててください」と言われることが多いんです。そんなときは、「死ぬとはこういうことなのかな」と、忍びない気持ちになることもあります」
家財整理業者は信用で選んでほしい
――家財整理の需要は今後も増えそうです。業者を選ぶときのポイントは何ですか。
「まず、お金の話から入る業者や、現場を見ないまま料金を提示する業者には注意した方がいいと思います。家財整理そのものには許可や認可が必要ないため、さまざまな業界から参入しています。今後は法整備も必要ではないかと感じています」
――片付けた家財の中から、価値のあるものが出てくることもありますか。
「あります。現金や古美術品などが出てきた場合は、もちろん依頼者に報告します。
買い取りが可能なものなら古物商を紹介することもあります。何より信用が第一です。
以前、福岡市中央区で一人暮らしをされていた女性のお部屋を整理したときには、いろいろな品が出てきて、東京から専門業者が来て、かなりの点数を買い取っていきました。
残されたご遺族には、何が「お宝」なのか分からないこともありますからね」
――料金はどのくらいかかるのでしょう。
「整理するモノの量や現場の状況によって大きく変わるので、現場を見ずに一概には言えません。大まかな目安としては、一人暮らしのお部屋なら20万円前後、一軒家なら50~60万円くらいでしょうか。納屋や庭の片付けなどが加われば追加費用も必要になります。あくまで現場の状況次第です」
筑高時代は水泳と水球に夢中 今の楽しみはバイク
――ところで石見さんは、筑高時代は水泳部だったそうですね。
筑高時代の水泳部・水球部の仲間と。一番上で壁に手をかけているのが石見さん
「高校時代は水泳と水球をやっていました。
水球は、足のつかないプールでゴールキーパーを含む7人で戦います。攻撃するときは28秒以内にシュートしなければならず、攻守が目まぐるしく変わる。
水泳は黙々と泳ぐ競技ですが、水球は「ゲーム」じゃないですか。だから面白いんですよ」
――現在、筑高では水球は行われていないそうですね。
「私が卒業して20年後くらいに水球は行われなくなり、現在は水泳だけになっています。
元水泳部の同窓生でつくる「筑水会」という組織も長らく休眠状態でしたが、2026年7月、同窓生有志が集まり、筑水会(水泳部OBOG会)を再結成しました。
会長は原幸範さん(高23回)、私は副会長を務めています。
これから定期的に活動していきたいと思っています。もちろん学校や現在の部員たちの意思が前提ですが、将来的には水球競技の復活も視野に入れています」
――事業所の前に、きれいに手入れされたヤマハのバイクがありますが、石見さんの愛車ですか。
「はい。今の趣味はバイクです。乗るよりも、いじっている時間の方が長いかもしれませんね」
愛車のヤマハSRX600CC
取材を終えて
地方公務員として長年勤め、定年後は息子さんが始めた家財整理の世界へ。120件を超える現場を経験した石見さんの言葉から伝わってきたのは、単に「モノを片付ける」だけではない、この仕事の奥深さでした。
家一軒を整理することは、そこに暮らした人の人生を整理することでもあります。石見さん自身もまた、定年を一つの区切りではなく、新しい仕事へのスタートに変えました。
筑高時代に熱中した水球では、今度はOBとして後輩たちにつないでいこうとしています。仕事に、水球に、そして愛車のバイクに。「未来倶楽部商会」という名前の通り、石見さんはこれからも未来に向かって走り続けます。
〈事業所情報〉
事業所名 株式会社未来倶楽部商会
所在地 福岡市南区的場1-29-17
営業時間 9:00~18:00
電話 0120-907-616
ホームページ https://mirai-club.com/
〈同窓生特典〉
代表取締役の石見さんが直にきめ細かい対応をしてくださいます。初回連絡時に筑高何回卒業生と申し出てください。